知財を活用した事業化 販路開拓…
ビジネスプロデューサー事業

 今年度で3年目を迎えた「福島知財活用プロジェクト」。特許庁が福島県で取り組む本プロジェクトの事業や事例について14回にわたり紹介していく。

ドライヘルパー 上

支援ポイント

・大手小売事業者との知財を活用した商品化交渉
・販売計画の交渉・助言

美里の小学生の特許が商品化へ

ハンガーに付けた「ドライヘルパー」を見せる創君ハンガーに付けた「ドライヘルパー」
を見せる創君
 会津美里町の高田小6年の関本創(あらた)君が2018年に特許を取得した物干し補助具「ドライヘルパー」が大手100円ショップの「キャンドゥ」(本社・東京、城戸一弥社長)で商品化され、来年1月下旬~2月上旬ごろに全国のキャンドゥ店舗で販売される予定だ。商品化は特許庁の福島知財活用プロジェクトのビジネスプロデューサー(BPD)派遣事業で実現した。小学生のアイデアを東証一部上場企業が採用し事業化したとして注目を集めている。
 原型は小学3年生の夏休みの課題製作で作った。母幸子さんがバスタオルやタオルケットを物干し竿(ざお)に掛ける姿を見て、簡単に干せて早く乾かせる道具を作りたいと考えた。量販店で材料を買い、柔らかいプラスチック板を丸め、竿に取り付けて干し物を滑りやすくし、板の一部を切って風通しを良くして完成させた。福島民報で毎週掲載している「知財ノート」を家族で読んで特許に興味を持ち、郡山市の県発明協会に設置されている県知財総合支援窓口を訪問。創君は自分の言葉で熱心にアイデアを説明し、特許と意匠権の取得を目指すことにした。弁理士や窓口担当者の助言を受け、小学4年生の時に「物干し補助具」で特許と意匠権を取得した。知財関係者間で「小学生が特許を取得し、実際に商品化されることは極めてまれだ」と評された。2019年には幸子さんらと株式会社「想(おも)いを創る」を設立。取得した特許の商品化を考えていたが、製造と販売の両面を担ってくれる企業がなかなかなかった。
 特許庁のBPD派遣事業による支援先は中小企業などが対象で、「想(おも)いを創る」も該当した。窓口から相談を受けたBPDの増山達也さんは創君と面談し、アイデア、背景、思いを聞き取った。「気兼ねなく手に取ってもらい、広く全国で購入できる。何より、創君の『お母さんの家事を楽にさせたい』という純粋な思いを形にしたい」。増山さんは全国の企業を探し始めた。相談している中で意外な反応があった。「小学生のアイデアをぜひ商品化したい」。それがキャンドゥだった。(次回=美里の小学生の特許を商品化する企業側の思い)

特許庁ビジネスプロデューサー(BPD)派遣に関する問い合わせ

知的財産取得に関する問い合わせ

 INPIT福島県知財総合支援窓口
  TEL:024-963-0242
  メール:office@fukushima-i.org