知財を活用した事業化 販路開拓…
ビジネスプロデューサー事業

 今年度で3年目を迎えた「福島知財活用プロジェクト」。特許庁が福島県で取り組む本プロジェクトの事業や事例について14回にわたり紹介していく。

WATASI JAPAN - 白河市 -

支援内容

・全般のフォローアップ
・専門商社と連携した国外販売支援
 (契約交渉、海外知財の取得等)

着物産業応援と女性活躍の思い込めた商標権を活用

名和さん(右)と増山プロデューサー(右から2人目)国内需要を狙う和服のリメイクによる
商品づくりを検討する名和さん(右)と
増山プロデューサー(右から2人目)
 白河市のコワーキングスペースを拠点に着物で作ったイスラム教徒の女性衣服を製造・販売している合同会社「WATASI JAPAN」。女性スタッフが裁断から縫製まで手作業で仕上げ、女性がかぶる布「ヒジャブ」、体を隠す「アバヤ」やロングカーディガンなどのムスリム服、礼拝着「ムクナ」など数種類の商品を扱っている。
 代表の名和淳子さん(四五)は女性の活躍する職場をつくろうと、二〇一六(平成28)年に設立。二〇一七年、インドネシアでの初の海外イベントに出展する際、ジェトロの勧めで「WATASI JAPAN」を商標登録した。
 ムスリム服や礼拝着は、イスラム圏の文化が反映されている。そのため、デザインや技術という分野で差別化は難しいが、「WATASI JAPAN」はそれを着物の生地で製作することで、独自性を発揮した。そこには、着物産業の衰退とともに、多くの着物が廃棄されている状況を受けて、廃棄されようとしている着物を別の分野に生かそうとする名和さんの発想がある。「WATASI JAPAN」の取り組みと会社名には、名和さんの発想やこれまでのムスリム社会との関わり、そして福島県内で女性が活躍する場を作りたいという思いが反映されている。商標登録は自社のブランドを他社から模倣されないための方法だが同時に「WATASI JAPAN」という社名が商標権として活用されることで、名和さんの思いを端的に表し、市場や社会にアピールしていくための手段にもなったといえる。
 特許庁の福島知財活用プロジェクトで知的財産を活用した新商品開発や販路拡大を担う増山達也ビジネスプロデューサー(BPD)の支援の元、販路拡大や生産体制の構築を模索。世界展開を目指し、インターネット販売のほか、訪日外国人客(インバウンド)向けのホテルやモスクなどに販売スペースを確保した。大阪の商社やメーカーと連携し、裕福な中東産油国の女性消費者向けに市場規模を広げていこうと準備を進めてきた二〇二〇(令和二)年の春先、新型コロナウイルス感染症が拡大。インバウンドがほぼゼロになり、海外事業が大きな打撃を受けた。
 スタッフの雇用維持、会社存続のため、当時、品切れ状態だったマスクの製造に切り替え急場をしのいだ。現在、感染終息後を見据えて会員制交流サイト(SNS)の充実化を図っている。当面は国内需要を狙って和服のリメイクによる商品づくりを検討。名和さんは「和柄の美しさをアピールし、和服の可能性を広げていきたい」と話している。
 増山さんは産業サポート白河と連携しながら、国内における新商品開発と同時にコロナ禍の今こそ海外販路拡大を重視し、知財がブランド価値向上に役立つとして外国での商標取得を助言している。
INPIT県知財総合支援窓口の田島隆博さん
 「WATASI JAPAN」の商標登録は国内のみの権利のため、海外で商標権での保護を受けるには、各国ごとに登録をしていかなければならない。模倣品の防止など海外でのビジネスリスクを回避するために今後は、海外展開に合わせ商標登録の準備のお手伝いをしていきたい。

特許庁ビジネスプロデューサー(BPD)派遣に関する問い合わせ

知的財産取得に関する問い合わせ

 INPIT福島県知財総合支援窓口
  TEL:024-963-0242
  メール:office@fukushima-i.org