知財を活用した事業化 販路開拓…
ビジネスプロデューサー事業

 今年度で3年目を迎えた「福島知財活用プロジェクト」。特許庁が福島県で取り組む本プロジェクトの事業や事例について14回にわたり紹介していく。

錨屋商店 - 白河市 -

支援内容

・「白河焼」の掘り起こし、商品化
・体験教室による販路拡大、地元定着
・大堀相馬焼との融合

江戸期の「白河焼」復活へ

大堀相馬焼などの作品山田さんの店舗に並ぶ
大堀相馬焼などの作品
 東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に伴い、白河市に避難し製造を再開している大堀相馬焼の窯元「錨屋(いかりや)商店」の十三代目・山田慎一さん( )は伝統技法を受け継ぎながら新商品開発に挑む。九年前に白河の地に移り、温かく迎え入れてくれた地元への貢献を胸に秘める。江戸期に生産されたといわれ、現在は多くの人が知らない「白河焼」を復活させる決意を固めた。
 文献によると「白河焼」は松平定信(楽翁)公が藩の財政を潤そうと作らせたとされ、「白楽焼」とも呼ばれる。現存するのは数点ほどとされ、市内の陶土で作られたとみられるが、具体的な採取場所は分かっていない。山田さんは、可能な限り史実に基づいた焼き物に仕立てることが、地域が誇れる文化になると信じ、自ら文献や各地で粘土の成分を調べてきた。白河焼の実物を手に取り、成分分析もしたいが貴重な文化財だけに難しく、資料写真から推測して土の調合割合や作品のデザインを模索している。山田さんは来春にも南湖地区に新しい店舗を構える予定だ。「可能な限り史実に基づき、新しい市の産品になれるように作り上げていく」と意欲を語る。
 特許庁の福島知財活用プロジェクトで知的財産を活用した新商品開発や販路拡大を担う増山達也ビジネスプロデューサー(BPD)は、白河市からの依頼を受けて山田さんと白河焼の定義や作品のデザインの相談を受けている。十月二十二日も店舗で山田さんが考える白河焼に適した土の調合具合、釉薬に使う灰について意見を交わした。増山さんは山田さんの考えを生かし、「最初は史実に基づいた陶器を作り、作品を作る中で現在の生活様式に合わせた新しい白河焼を生み出してもいいのではないか」と提案した。市内では茶道の集まりが活発で、焼き物を生かし、市民と白河焼の接点としての働きかけも重要と説く。増山さんは、製法やデザインなどの知的財産の活用を視野に入れる。
 増山さんは大堀相馬焼にも注目する。「この店舗に来れば白河焼を体験でき、白河を感じられる、伝統が息づく大堀相馬焼も手にできる、という白河藩と相馬藩の融合を売りにできないか。避難している大堀相馬焼の他の窯元を誘ってみるのも広がりが出る」と構想を述べ、販売と焼き物づくり体験をセットにした市の新たな産業振興につながる青写真を描いている。
 特許庁の人材育成事業が企業訪問と並行して行われており、その後、参加した知財活用推進支援機関からは商品化に向けた積極的な提案が寄せられ、支援の輪ができ上がっていく。(次回=支援機関の協力)
増山さんと山田さん白河焼に適した陶土について
増山さんと意見を交わす
山田さん(左)

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